ワールドカップの歴代試合球の特徴や名場面についてまとめました。
ワールドカップ開催間近のこの時期、各国のチーム事情も気になるところですが、ワールドカップ歴代試合球について、今回はスポットを当ててみたいと思います。
今回の使用球でどんなドラマが生まれるのでしょうか?また、歴代の試合球でどんな歴史が生まれたのでしょうか?ここでは歴代の使用球の特徴や名場面についてまとめていきます。
ワールドカップ 歴代試合球と特徴
1970年メキシコ大会以来、実に48年にわたってFIFAワールドカップ公式試合球として使用され続けてきたアディダスの「テルスター」。
公式サイトによると、「テレビ時代のスター=テルスターから、デジタル時代のスター=テルスター18」として2018年ロシアW杯では使用されるとの事です。
歴代のボールを見ていくと、
1970年 メキシコ大会 TELSTER(テルスター)
白黒テレビの時代で視認性を良くするために作られたボールというところが特徴。
1974年 ドイツ大会 TELSTER(テルスター)
ブランドロゴもすべて黒にしてしまい、白黒の統一感を出したところが特徴。
1978年 アルゼンチン大会 TANGO(タンゴ)
開催地アルゼンチンの音楽舞踊である「タンゴ」をデザインに採用され、フットボールの革命をイメージさせたのが特徴
1982年 スペイン大会 TANGO ESPANA(タンゴ・エスパーニャ)
天然皮革を使って、防水性を高めた密閉式縫い口を使っているところが特徴。
1986年 メキシコ大会 AZTECA (アステカ)
人工皮革製で本革よりも耐久性がアップし、吸水性は最小限に抑えた古代アステカ文明の歴史を表現した模様が特徴の試合球。
1990年 イタリア大会 ETRUSCO UNICO (エトルスコ・ユニコ)
総合フォーム・システムとポリウレタンを使い、スピード感あふれる試合が期待されるように作られたのが特徴、デザインは古代文明エトルリアの歴史を表現しています。
1994年 アメリカ大会 QUESTRA (クエストラ)
スピード感だけでなく、ソフトな感触を生み出すハイテクデザインを駆使しており、デザインは宇宙を駆け巡る星をイメージしているのが特徴です。
1998年 フランス大会 トリコロール TRICOLORE (トリコロール)
近代フランスのシンボル高速列車とタービンを融合したデザインが特徴、グラスプリントとシンタクティックフォームという二つの新技術を搭載している事でも有名です。
2002年 日韓共同開催 FEVERNOVA (フィーバーノヴァ)
共同開催という事で、両国の情熱や近年の目覚ましい技術革新をイメージして作られたボール。
2006年 ドイツ大会 +TEAMGEIST(+チームガイスト)
より強いチームへという想いを込められた試合球で、「共に戦えば強くなれる」、「優勝するために重要なチームスピリット」を加えた意味ですが、キックをより正確にコントロールできるよう、14枚パネルで構造されているのが特徴。
2010年 南アフリカ大会 JABULANI (ジャブラニ)
8枚の立体のパネルを組み合わせて、真球に近い形にしています。南アフリカの伝統的なハンドクラフトで「シンプルなパターン模様」が特徴。
2014年 ブラジル大会 BRAZUCA(ブラズーカ)
ブラズーカには「ブラジル人の誇り」という意味が込められていて、名称はブラジル人から一般公募されたそうです。
という呼び名ですが、2002年以降のデザインは、個人的な感想としては「サッカーらしいイメージがどこか抜けているような印象を受ける」ものでした。
その事もあってか、1970年のTELSTER(テルスター)を元に作られている事もあってか、本年度の現代のデジタル時代と融合したようなデザイン、サッカーらしい白と黒のデザインの組み合わせは、好感が持てます。
ワールドカップ試合球 歴代の名シーン
ここまで試合球の歴史と特徴を紹介してきましたが、それぞれの試合では後世にまで継がれている、名シーンが数多くありますので、ここで振り返ってみたいと思います。
1970年 メキシコ大会
ブラジルがイタリアを4-1で下して3度目の世界一となった大会、ペレのブラジルW杯100ゴール目を決勝で記録するなど、セレソンの強さを発揮した大会。
準決勝でイタリアに敗れた西ドイツには、ゲルト・ミュラーがいて10得点を挙げている事も触れずにはいれない大会です。
1974年 ドイツ大会
西ドイツ代表のゲルト・ミュラー、オランダ代表のヨハン・クライフの二人が躍動した大会。ミュラーはこの大会を持って国際大会での引退を発表する事になりました。
1978年 アルゼンチン大会
得点王になったアルゼンチンのマリオ・ケンペスが躍動した大会。前回準優勝のオランダでは「トータルフットボール」旋風を巻き起こして、大会を盛り上げていましたが、アルゼンチンの前に完敗。
1982年 スペイン大会
ジーコ、ソクラテス、エデル、ファルカン、セレーゾといった、最強の攻撃陣を揃えたブラジル代表が下馬評通りの優勝・・と思われましたが、W杯二次リーグC組のイタリアに敗北し、そのままイタリアが優勝する事に。イタリアのパオロ・ロッシは6得点をあげて得点王に。
ジーコはこの敗戦を「サッカーが死んだ日」と表現したり、テレ・サンターナ監督は腐ったフルーツを投げつけられる失意の大会となる事に。
1986年 メキシコ大会
ディエゴ・マラドーナのためにあったような大会、神の手によるゴールや5人抜きは今でも伝説になっています。NHKの山本アナの実況が印象的だった方も多いのでは無いでしょうか。
1990年 イタリア大会
今大会からアフリカ勢の躍進が徐々に見られる事に。カメルーン代表のロジェ・ミラ選手のゴールパフォーマンスを印象的に思われている方も多いかもしれません。
また地元大会という事でイタリアに目を向けると、スーパーサブとなっていたロベルト・バッジョが存在感を見せた大会としても知られています。
1994年 アメリカ大会
ロベルト・バッジョが最も輝き、最も落胆した大会だったかもしれません。歴史に残る大熱戦を繰り広げたイタリアとブラジルの決勝戦。
舞台はPKまで進み、イタリアの最終キッカーはロベルト・バッジョ選手です。本大会で5ゴールをあげてきたイタリアのエースストライカーに「決して閉じることのない傷口だ」と後世言わしめた失敗にスポットが当たったのです・・
1998年 フランス大会
フランス代表ジダンのためにあったような大会、決勝戦ブラジルとの対戦では3-0という圧倒的な力を見せての優勝でした、またフランス大会から日本もワールドカップに出場する事になりますが、予選でアルゼンチン代表のバティストゥータが個人的には印象的でした。
2002年 日韓共同開催
日本がホスト国として迎えたW杯ですが、様々な名シーンが生まれた事もありますが、同じく面白い現象として挙げられるのが「髪型」です。そうです、イングランド代表のデイビット・ベッカム、ブラジル代表のロナウドです。
特にロナウドは「大五郎カット」と呼ばれた奇妙な髪型をして出てきたが、後世でその時の心境を語っていたのが、サッカー人生を脅かすような怪我とリスクを負っていたため、怪我に注目されないように髪型を奇抜にしたんだそうです。この髪型が当たったのか?8ゴールをあげて得点王に。また、3Rと称された、ロナウド、リバウド、ロナウジーニョの最強の攻撃陣も魅力たっぷりでした。
ちなみに日本はというと、フィリップ・トルシエ監督のもと、フラット3を駆使して初の予選通過、ベスト16に残る快挙、また韓国はベスト4に残る快挙を挙げています。
2006年 ドイツ大会
フランス大会で活躍したジダンが再び躍動したドイツ大会、無敵艦隊のスペインを破る大金星をあげたのですが、一方で汚名が残った大会でもあります。
決勝のイタリア戦延長後半にマルコ・マテラッツィへ頭突きをかまして退場したのは、記憶に新しいのでは無いでしょうか。結局、この事も影響しPK戦に敗れたフランスはPKに敗れ、ジダンもピッチから去り引退する事に。
ちなみに日本は、ジーコの元世代最強と呼ばれる陣容で望んだ大会でしたがオーストラリアに3-1、ブラジルに4-1で敗れて、予選敗退。中田英寿はこれを機に若くして引退する事に。
2010年 南アフリカ大会
スペインが歴史の一ページを開けた事でも有名な本大会、無冠の帝王だったスペインがオランダを破って優勝する事に。アンドレス・イニエスタはじめタレント揃いのスペイン代表でした。
また、日本はと言えば岡田第二次政権で最弱ジャパンとも言われていましたが、大幅なフォーメーション変更や中村俊輔外し、本田圭佑のワントップなど、改革に着手し予選リーグ突破、ベスト16へと上りつめました。
2014年 ブラジル大会
近年のタレントが勢揃いの大会、ポルトガル代表にはクリスティアーノ・ロナウド、ドイツ代表にはマヌエル・ノイアー、バスティアン・シュヴァインシュタイガー、ミロスラフ・クローゼ、アルゼンチン代表にはリオネル・メッシ、イタリア代表にマリオ・バロテッリ、イングランド代表にスティーヴン・ジェラード、ウェイン・ルーニー、リッキー・ランバート、コロンビア代表にハメス・ロドリゲス・ルビオ、オランダ代表にヴェスリー・スナイデル、ロビン・ファン・ペルシー、アリエン・ロッベン、スペイン代表にセルヒオ・ラモス、アンドレス・イニエスタ、フェルナンド・トーレス、ジエゴ・コスタ、ブラジル代表にチアゴ・シウヴァ、オスカル、ネイマールと言った名前が揃う。
一方で、ブラジル代表にはカカやロビーニョの名前はなく、タレントが揃わない大会という事で不安視されていたが、ネイマールも怪我をする事になり失意の大会となりました。
一方、日本はと言えば、ザッケローニジャパンとして期待も高かったのですが、予選敗退。
以上、歴代の試合球の特徴や名シーンをまとめてきましたが、2018年ロシア大会ではどんな名場面が見られるのでしょうか。それらの名シーンを生み出すサッカーボールに注目するのも、一つの見方として面白いかも?
と思い今回取り上げさせていただきましたが、サッカーボールだけでは名シーンが生まれることはありませんので、それぞれの選手とのコラボを楽しみにしたいと思います。